佐原みらい運河の活動記録!vol.10 「佐原かき氷展、開催当日の様子」

 

こんにちは!
9月12日(土)から10月4日(日)まで、いなえギャラリーで開催していた『佐原かき氷展 ―かき氷の新しい嗜み方とは?―』が、無事に終了しました!ご来場くださった皆さま、本当にありがとうございました。今回は、展示の様子や内容を振り返ってお届けします!

 

 

まずは、企画の経緯から。

近年、かき氷は単なる夏の風物詩を超え、その価値や魅力は深みを増してきました。素材へのこだわり、一杯ごとに宿るストーリーなど、かき氷には奥深い世界が広がっています。そして、水郷の町・ 佐原には、そんな素敵なかき氷を提供するお店が数多く軒を連ねています。佐原は、水運の要衝として栄えた一方、度重なる甚大な水害の歴史を抱える地域でもあります。佐原と「水」は切っても切り離せない、とても大事な要素なのです。そんな佐原でかき氷に注目したまちづくりが進んできました。

 

 

この流れに触れる中で、一つの問いに突き当たりました。かき氷は、どれだけ丁寧に、どれだけ思いを込めて作り上げても、時間 とともに必ず溶けていってしまう。溶けていくものだからこそ、一口一口が愛おしく、その瞬間が特別なものになる。しかし、その儚さの中にあるかき氷の魅力を少しでも長く、豊かに味わう=「嗜む」 方法はないだろうか——。「佐原かき氷展」は、こうした問いを出発点として企画しました。

 

 

本企画では、『溶けないかき氷で、かき氷をじっくり嗜む夏に。』というコンセプトのもと、かき氷をじっくり楽しむ。嗜むための3つの作品を用意しました。
1つ目は、『佐原かき氷みくじ&鳥居』です。

 

「佐原かき氷みくじ」は、佐原かき氷スタンプラリーに加盟する十二店舗の魅力を、より多くの方に知っていただくために生まれた企画です。おみくじを一回引くごとに、その日のおすすめかき氷が一品、そしてそのかき氷の魅力から着想されたオリジナルの運勢が、あわせて授けられます。

 

 

素敵なお店がたくさんある中で、まだ訪れたことのないお店の魅力に 出会う機会は、意外と限られているように思います。そこで、あえて「自分では選ばない」体験としておみくじを設計しました。歩いたことのないエリア、選んだことのないお店を、運という力を借りて訪れる。そんなささやかな冒険を通じて、佐原という町の奥行きを、もっと知っていただきたいと考えました。何度目の佐原であっても、きっと新しい一軒に出会えるはずですし、初めての方にとっても、迷わず一軒目を選べるきっかけになればと思い企画しました。(こちらのおみくじの収益は全て日本赤十字社「令和8年 8月千葉豪雨災害義援金(千葉県)」に募金させていただきます。)

 

 

実際に、多くの方におみくじを楽しんでいただき、行ったことのないお店に巡り会えていたり、いつもよく行くお店が出て喜んでいる方もいたり、それぞれの嗜み方があるのだなぁと感じました。また、おみくじから発想し、入り口には自作の鳥居を置きました。多くの方が注目し、興味を持っていただくことができました。

 

 

2つ目は、『佐原かき氷小説』です。

 

 

「佐原かき氷小説」は、佐原かき氷スタンプラリーに加盟する十二店舗、それぞれのかき氷から着想を得て書き下ろした、短編十二編のフィクション小説です。実際に小説家の伊豫さんが一杯ずつ味わい、そこから受け取ったインスピレーションをもとに、店舗ごとに物語を紡いでいただきました。

 

 

伊豫さんは、東京大学文学部に在籍されている小説家で、地域をテーマに創作活動を多くされています。今年の春には『若きブリコルール展―即興創作―』で、小野川をテーマに『小野川の船大工』を執筆していただきました。この夏は、本作品を創るため佐原に何度も足を運んでもらい、かき氷を十二杯食べていただきました。

 

 

かき氷は、涼やかで美しい存在でありながら、口に運べばあっという間に溶けて消えてしまうもの。その儚さこそが魅力である一方、もう少しだけその余韻を長く留めておくことはできないだろうかと考え、行き着いた答えが「小説」という形でした。物語であれば、一度読で終わりではなく、何度でもページを開き、噛みしめるように読み返すことができます。溶けてしまった一杯の記憶を、言葉として手元に残してほしい。そんな思いから、この本は生まれました。

 

 

もうひとつ、この本には小さな仕掛けがあります。それぞれの物語の冒頭には、かき氷の絵を描くためのページを設けました。物語を読んで「食べに行きたい」と思っていただき、実際にそのお店でかき氷と対面したとき、目に映った色や形を、ご自身の手で残してみてください。うまく描けなくても構いません。写真であればきっと似た一枚になります が、自分の手で描いた絵には、そのときの気持ちまでにじみ出るように思います。後からこの本を読み返したとき、「ああ、あの時、あの場所でこんなかき氷を食べたな」と、思い出すきっかけになれば嬉しいなと思い、企画しました。

 

 

本も多くの方に手に取っていただき、佐原のかき氷が大好きな方や、訪問した地域をテーマにした小説を集めている方、出版社で働いていらっしゃる方、芸術家の方など…。佐原のかき氷の魅力がそれぞれの方の手の上で、じっくりさまざまな形に膨らんでくれたら幸せです。

 

 

3つ目は、『かき氷×AIコンテンツ』です。

 

こちらは、かき氷とAIを掛け合わせて、かき氷の新しい嗜み方を生み出せないかと考え企画したもので、3つのコンテンツを創作しました。
1つ目は「佐原かき氷俳句」です。こちらは、かき氷を食べた時に撮った写真と、その感想を入力するだけでAIがオリジナルの俳句を詠んでくれるというものです。普遍的な感想も、俳句にするとこう表現されるのかと、感じた魅力を一層味わい深くしてくれるコンテンツになりました。

2つ目は「佐原氷色めぐり」です。こちらは、かき氷を食べた時の写真を読み込ませると、そのかき氷の色に一番近い日本の伝統色を教えてくれるというものです。かき氷の色に注目することはあまりなく、またその色を日本の伝統色250種類で表現するとこんな名前になるのかと非常に驚きが多かったです。また、カラーコードも教えてくれるため、かき氷の思い出をデザインにも活かせそうだなと感じました。

3つ目は「佐原かき氷診断」です。こちらは、その日の気分や食べ物の好みをたくさん入力すると、最終的にその人にその日おすすめなかき氷を提案してくれるというものです。おみくじとは違い、完全に個人に合わせて提案してくれるため、その日のその人にとって最適なかき氷の思い出を持って帰ってもらえると考えました。

 

 

本展示で創作された作品の紹介は以上です。どの作品も、企画の時に想定していた「かき氷の嗜み方」とはまた違った「新しい嗜み方」があるなと気づかせてくれました。

 

 

本展示では、まだまた3作品でしたが、この展示はまさに「かき氷の探究」の成果です。こんなにもかき氷って奥深いのかと感じさせられた展示でした。今後も「かき氷の嗜み方」を探究していきたいと思います。改めて、ご来場いただいた皆様、ありがとうございました。

 

 

 

佐原みらい運河株式会社

落合 真弘